友人と東根市の黒伏山(標高1,227m 東北最大の岩壁で落差300mほど)を眺めに行くことになり、車の中でこんな話を聞きました。
友人は家族で農業をやっており、冬期は仕事が無いので別の仕事をしています。息子さんは黒伏高原スキー場でリフト係をしていたそうです。
それは10年前の東日本大震災の時でした。
スキー場からは黒伏山の岩壁を間近で一望できるのですが、そこから激しい揺れと同時に、けたたましい叫び声のような、言葉ではとても表現できない奇怪な爆音が響き渡りました。
仕事の同僚が「山が鳴いてる」と。しかし息子さんの印象は、黒伏山がこちらに向かって大声で吠えて威嚇しているようで、今までに経験したことのない恐怖を感じたそうです
黒伏山の南壁はロッククライミングで有名な場所です。そこで命を落とした人もいれば、山菜取りに行ったまま行方不明になった人もいたとか・・・。
しばらくして黒伏山が見えてきました。垂直に近い南壁は威圧感があり、息子さんの体験談と相まったせいか、我々も山に吸い込まれるような恐ろしい錯覚を覚えました。
ここまでの話だと黒伏山は怖さしか感じません。でも逆もまた然りで、しばらく眺めて
いると岩肌が神々しくもあり、スキー場を含め黒伏山一帯は壮大で綺麗な山々だと思います。
去年の冬は極端に雪が少なく、運営が満足にできなかったスキー場が多い中、黒伏高原
スキー場は全面滑走可能で、しかもパウダースノーを保った状態だったそうです。
もし機会がありましたら是非!スキーやスノーボード、そして眺めにいらしてくださいね。
帰る途中、野猿がガードレールの上で何かを美味しそうに食べていました。
近寄っても逃げなかったので記念撮影です。
最北地区 原田洋典